高校時代の友人、新庄輝也君(京都大学名誉教授)が京の街を歩き回って集めた「京の右書きの看板」の写真集(2011年12月31日初版完成)をホームページにするお手伝いをしたのがきっかけで、いつの間にか自分も「右書きの看板」に興味を持つようになった。
新庄君によると、日本語を右縦書きで書く習慣は中国のやり方を踏襲したものだが、横書きの場合は新聞の見出しなどでも「右書き」と「左書き」がせめぎ合う時期がかなり長く続いたが、現代では「左書き」に統一されている。
ところが町を歩いていると、いまだに「右書きの看板」を見かけることがある。左書きが一般になった約70年以上前から残っているものもあるが、新しく作られた右書き看板も存在する。神社仏閣は別として、一般の商店の看板を中心に新庄君のページを拝見すると、「よくもこんなにたくさんあるものだ」と感心するばかりである。
2014になって、3月と9月に中国に旅行する機会があったので、漢字の国、中国の看板には「右書き」が残ってないかどうか街歩きのついでに気を付けて観察したところ、大都市の繁華街には「ほとんど残っていない」のが実情であった。「ほとんど」と書いたのは上海のバスの窓からたった一件だけ見つけたのだが、写真を撮る余裕はなく通り過ぎてしまったからである。
そこで、それぞれの街の旧市街(たとえば上海なら元、明の頃から上海の中心であった「城隍廟」など)を訪ねてみると、古くからの右書き看板に交じって、伝統を誇示するためか真っ新な右書き看板に出会うことが出来た。城隍廟ではコーヒーショップのスタバまで「克巴星」と右書きしてあったのには驚いた。なお、スタバの右書き看板は自分で発見したのではなく、卒業生,
鐘鳴さんが発見して連れて行ってくれたもので1人では到底見つけることはできなかったであろう。
以下、都市別に「右書き看板」を中心に面白いと思ったお店をご紹介したい。
1.呉の都、蘇州
2.唐の都、西安
3.上海の老街、城隍廟
4.長沙の老街(1)、清水塘etc.
5.長沙の老街(2)、太平街
6.無錫の老街、
7.台北の老街、迪化街
本シリーズ作成の引き金になった、新庄輝也君の「京の右書き看板」については
こちらをご参照ください。